ITコンサルタントの「やりがい」とは?【SEとの違い】

多くの方が、ITコンサルタントは「経営者のIT参謀」、「大きな仕事ができる」、「高収入」といったIT分野のキャリアの華のようなイメージを持たれるでしょうか。IT業界において、SEの人たちからは、「SEよりも大きなやりがいがあるのでしょう」と、羨望の眼差しで見られることがある一方で、クライアントからのプレッシャーがきつく、長時間働き、離職率が高いことでも知られています。

実際、ITコンサルタントとして活躍している人たちは、日常の仕事のどんな場面でやりがいを感じて、ハードな仕事に立ち向かっているのでしょうか。

そこで、今回は、SIerや事業会社のSEと比較して、ITコンサルタントの多くが感じるやりがいについて、実例を交えてご紹介します。

【目次】

  1. 「経営課題」を解決する達成感
  2. 仕事でつきあえる人の範囲が広い
  3. 最新の技術・トレンドを学べる学べる機会が多い
  4. 人間関係にとらわれることなく、最適な方法で仕事がしやすい
  5. 高い年収

「経営課題」を解決する達成感

ITコンサルタントの仕事内容を一言で言うと、「ITを使って企業の経営課題を解決すること」です。SIerのSEも経営課題を解決するITを提案しますが、提案内容は自社で提供できるシステム開発やパッケージソフト導入の枠内に限られてしまいます。これに対して、ITコンサルタントが行う提案では、システム導入に最適なベンダーを選ぶことができ、クライアント企業が本当に必要としている提案ができることが最もよく聞くやりがいでしょうか。

事業会社のSEが開発、運用するITシステムも自社の経営課題の解決のためですが、SEが実際に行う仕事の大部分は、開発ベンダーの管理、日々の運用や保守作業、または、それを行う外注先の管理です。経営層から課題を提示されて、解決のためのIT導入や改善の計画を作る仕事もありますが、それは数年に一度で、こうした仕事に携われるSEは限られています。
これに対して、ITコンサルタントは、喫緊に解決しなければならない課題がある企業からの依頼によって編成されるプロジェクトに入って仕事を行います。ひとつのプロジェクトで解決策を作り上げて報告または実行すると、また次のプロジェクトで別の課題が待っています。ITコンサルタントは日常業務として経営課題の解決に当たれるので、ごく稀にしかその機会に恵まれない事業会社のSEより大きなやりがいを持つことができます。

赤字続きだった企業が、ITコンサルタントの提案により業績が回復すれば、顧客企業に喜ばれるだけでなく、社内での評価が高まり、やりがいのあるプロジェクトにアサインされます。ITコンサルタントにとってやりがいとなる報酬は金銭だけではなく、次にアサインされる仕事です。クライアント企業が属する業界内でITコンサルタントの個人名が評判になることもあり、他社からより高い報酬での引き抜きのオファーが得られる可能性がひらけることもやりがいになります。

仕事でつきあえる人の範囲が広い

次によく挙げられるのが、日常業務で多種多様な人と協力して仕事を進められるという点です。ITコンサルティングを提供している企業では中途採用が多く、さまざまな職業経験を持った人が集まります。プロジェクトにおける議論や顧客に提示する提案のレビューだけでなく、日常のなにげない会話を通じても、ITコンサルタントがそれまで知らなかったノウハウや経験談を同僚から直接聞けるのは刺激的です。

一方で、SEの場合は、所属先がSIerでも事業会社でも、日常業務で接するのは、同じ会社に所属するSEの同僚、外注先のSEや営業担当者、ITシステムのユーザーに限られがちです。日常接する同僚の多くは、自分と似たキャリアを持ち、仕事上の会話のなかみはITを中心に限られてきます。ユーザーとの会話は、ITシステムとそれが対象とする業務内容が大部分です。職業人として成長したい、視野を広げたいと思っていても、仕事を通して得られる情報は限られているでしょうか。

また、上流工程を担当するSEは、ユーザーだけでなく、ユーザー部門の管理職層と会話することはありますが、経営層と会話できることは稀です。これに対してITコンサルタントの場合、仕事を発注するのはクライアント企業の経営層で、プロジェクトの最終報告先も経営層になるので、プロジェクトの期間中、経営層と直接会話する機会があります。企業全体を見渡す視野に立てるので、世の中を幅広く、かつ深く理解するための絶好の機会です。

最新の技術・トレンドを学べる学べる機会が多い

ITコンサルタントはさまざまな選択肢からベストの方法を選び出し、提案することが求められるので、最新の技術やビジネスを理解しておく必要があります。新たな技術、新たなビジネスの手法は次々に出てきます。ITコンサルタントは常に知識をアップデートしなければ生き残れない職種ですが、このアップデート作業、すなわち、日々、学び続け、スキルを磨いていくことを仕事にできることも良く挙げられるITコンサルタントのやりがいです。

ITコンサルタントがクライアントに提案を出すときには、チーム内で厳しいレビューが行われます。上司や先輩たちの突っ込みは厳しいですが、そこで得たフィードバックは、ITコンサルタント自身の新しいスキルになります。そのスキルが評価されると、次の新しいプロジェクトにアサインされ、そこで活かすことができます。活かした結果が厳しいレビューにさらされ、そこでまた新たなスキルが得られます。スキルが雪だるま式に増えていくのはITコンサルタントの大きなやりがいです。

学ぶ意欲旺盛なSEも仕事を通してスキルを向上させることができますが、周囲からもらえるフィードバックのほとんどはITの実装や運用の手法に限られます。技術セミナーや研修、社内の勉強会などによって、広い範囲のスキルを磨く機会はありますが、実務経験に勝るものはありません。ITコンサルタントの仕事は、給料もらいながら、MBA留学でよくあるケーススタディを行うようなものと言うこともできます。

技術やビジネス的なスキルだけでなく、ITコンサルタントの仕事を通して磨かれるコミュニケーションスキルを、キャリアを通しての武器にできるのもやりがいになります。例えば、経営層に対して、技術的な視点で提案しても納得されません。技術を扱う部署にビジネス的な視点で話しても的外れになってしまいます。同じ内容であっても、相手の立場に応じて説明の仕方を柔軟に変える技を習得するには、多種多様な人と会話しながら仕事を進める実務経験が最適です。

若手のITコンサルタントには、学ぶ以上のやりがいがあります。学校を卒業して間もないうちは、自分の長いキャリアを通して何がしたいか、どんなビジネスパーソンになりたいかの明確なイメージを持てないものですが、ITコンサルタントとして、さまざまな実務経験を持った人と働き、多種多様な経営上のテーマが課される仕事に取り組むことで、自分のキャリアの方向性が明確化されていくということです。

人間関係にとらわれることなく、最適な方法で仕事がしやすい

ITコンサルタントのやりがいのひとつに、クライアント企業にとってベストな方策を考えて、提案し、実行できることが挙げられる、と言うと、そんなの当たり前だ、という反応をされることがあります。ところが、事業会社のSEにはこれが当たり前ではないのです。自分の会社にとってベストなITシステムを導入しようとしても、社内の人間関係への配慮からできないことがあります。

例えば、数年前に導入されたITシステムが当初の目標通りに使われておらず、逆に業務負荷が増大している状況で、経営者から、その原因を特定し、改善するための方策を立案するよう命じられたとしましょう。導入プロジェクトの責任者は相変わらずIT部門に在籍しています。要件定義段階で要件を出した担当者やその上司はまだ同じ業務部門にいます。導入の裁可をした役員も健在です。社内SEは、調査した結果、現行システムの全面的作り直しが自社にとってベストであるという確証を得ても、導入プロジェクトが失敗であったと断じるのは難しいことがあります。自分の行った仕事の結果を否定されると怒り出す社内の実力者に忖度して、部分的手直しの提案をせざるをえなくなります。

また、統合業務パッケージを導入して、業務の生産性を高めることは今日、多くの企業で行われていますが、ほとんどの場合、既存の業務フローの変更を伴います。日本の企業には、現行の仕事のやり方を変えることに抵抗する人がたくさんいます。多くは感情的な反発です。社内SEは、後々多くの問題を引き起こすことがわかっていても、このような人たちの要求を入れて、現行通りの業務を可能とするために、アドオン開発を行わざるを得なくなります。

外部のITコンサルタントであれば、このような配慮は無用です。プロジェクトの発注者(多くの場合は経営層)に満足してもらえればよいのです。クライアント企業で不満を言っている人たちとのつきあいはプロジェクトが終わるまでです。プロジェクトの同僚や上司との人間関係に気を配る必要はありますが、クライアントにとってベストと信じる提案を曲げなくてよいのは大きなやりがいとなります。

高い収入

経済産業省の調査「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果(平成29年)」によると、ITコンサルタントの平均年収は928.5万円で、すべてのIT関連職種の中で一番の高額でした。これは、世間一般の平均から見てもかなり高収入の部類に入ります。

ITコンサルタントは、企業が抱える経営課題に対して、ITを手段として、解決策を具体化し支援を行いますが、解決策に含まれる範囲がSEより広いことから、SEより高い単価で報酬が支払われます。そのためITコンサルタント個人に支払われる報酬も多くなります。

高い収入は例外なくITコンサルタントのやりがいの一つになりますが、これは日常業務で周囲から受ける強いプレッシャーと表裏一体です。多くの職種の人材が働くプロジェクトにおいて、プロジェクトメンバーに支払われる単価は、顧客の経営者やプロジェクト管理者などの一部しか知らないはずですが、さまざまな事情で漏れてしまいがちです。外部のSEだけではなく、クライアント企業の社員よりITコンサルタントの単価が高いこともよくあります。そうなると、クライアントからは、社員が持ち合わせていないような豊富な知識と経験を提供することが期待されるだけではなく、はっきりと口に出して言われることもあります。こうしたプレッシャーは、ITコンサルタントが日々の仕事で自分を磨くモチベーションとなり、それがまたITコンサルタントのやりがいをさらに高めることになります。

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>ITコンサルタントへのキャリアに関する記事

SEとITコンサルが言う『上流工程』の違いと特色
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/se_cous/02.html

SEの転職先としてのコンサルティングファーム
https://www.axc.ne.jp/column/axis-column/2018/0227/se_cous.html

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今回は、SIerや事業会社のSEと比較して、ITコンサルタントの多くが感じるやりがいについて、実例を交えてご紹介しました。

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