金融コンサルから投資銀行への転職で有利になるスキル・経験とは?

インダストリータイプのセクションである「金融セクター」には、金融関連に興味や知見のあるコンサルタントが多く、実際に投資銀行を次の転職先として目指される方も多い印象です。そこで、今回は金融コンサルから投資銀行への転職を成功させる上でのポイントをご紹介します。

【目次】

  1. 投資銀行への転職でアドバンテージになる金融コンサル特有の知見
  2. 投資銀行への転職にプラスに働く「コンサル」としてのスキル・経験
  3. 金融コンサルが投資銀行の採用・面接においてチェックされるポイント

投資銀行への転職でアドバンテージになる金融コンサル特有の知見

金融コンサルでの知見を投資銀行に活かすことを考えた場合、一般的なコンサル以上に役に立つ経験・知見がいくつかあります。

金融規制に関する知識

金融機関は業界独自の規制を受けて、ビジネスがおこなわれています。世界的にはバーゼル3に従って自己資本を一定程度確保しておく必要がありますし、日本国内ではバーゼル3を補完する形で独自の規制が導入されています。

これらの規制は投資銀行で金融機関をクライアントとする際に有用です。金融規制を前提に財務戦略を提案し、それに基づいて資金調達のディールをおこなうことができるためです。投資銀行の人間での金融規制について詳しい人は決して多くないため、金融機関をクライアントとするディールの専門人材や金融向けのカバレッジにはとても重宝されます。

金融機関の資金調達方法に関する知識

金融機関は先に紹介した通り、バーゼル3などの金融規制に準拠しながら経営されています。コンサルで金融機関の財務関連のプロジェクトに参画すると、資金調達手法の検討をおこなう機会も出てくると思います。

金融機関は株式調達、債券調達に加え、ハイブリッド債券や転換社債など「債券と株の中間の商品性を持つ」有価証券での資金調達も盛んに実施します。金融規制への充足と資本効率の両立を図るために、多様な手段が用いられるのです。

これらはコンサルにおいて資金調達ミックスのテーマとなる一方、投資銀行ではディールのチャンスになります。こうした多様な金融商品の知識を持っておくことは、金融機関をクライアントとする投資銀行の部門に入る際には優位に働くでしょう。

投資銀行の組織構造への理解

3つ目は転職面接で優位に働くのではなく、転職後にスムーズに仕事を進めるという観点で優位に働くポイントです。金融コンサルでは組織改革や業務効率化などの案件においてクライアントの組織構造や業務プロセスの情報を仕入れられる場合があります。投資銀行は社内でもカバレッジ・審査・プロダクト・ドキュメント・市場部門など多くの部署が関わります。

ディールを円滑に進める上で鍵となる部署、密にコミュニケーションをとっておくべき部署というのが当然あります。こうした仕事の進め方は、本来入社してから苦労しながら掴んでいくものですが、金融コンサルの場合は案件によってはある程度事前知識を持って入社できるチャンスがあります。

最も幸運なのは特定の金融グループの投資銀行部門の周辺のプロジェクトに参画した場合です。組織構造や業務プロセスを把握できるため、大きなアドバンテージになります。仮に自分がクライアントとして対応した金融グループの投資銀行部門に入社できれば最高です。また、別の投資銀行でも、ある程度は組織構造や業務プロセスなど共通する部分はあるはずなので、やはり何の前提知識もない方と比較すれば優位でしょう。

また、そこまでダイレクトでなくとも、例えば市場部門や証券部門の組織を把握しておくだけでもプラスです。投資銀行では有価証券を円滑に販売するために、これらの部門と円滑にコミュニケーションを取る必要があります。彼らの業務の特徴やキーパーソン、どのような金融商品をどのような時に多く販売するか、など、業務・組織に関する知識を身につけておくと、役に立つシーンは多いでしょう。

投資銀行への転職にプラスに働く「コンサル」としてのスキル・経験

金融コンサルから投資銀行へ転職する上で、プラスになる経験はいくつかありますが、一部は金融コンサルに関わらず、コンサルであれば培うことが可能です。
ここでは、コンサルタントとして一定の経験を積んだ方であれば誰もが持っているスキルや経験で、投資銀行へのキャリアに役立つものをご紹介します。

プロジェクトマネジメントスキル

コンサルで生きていけば身につくベーシックなコンサルスキルには、投資銀行と親和性が高く、アピールしやすいものがいくつかあります。

例えばコンサルの案件執行スキルである、プロジェクトのマネジメントスキルです。コンサルは数人〜十数人のチームとなってプロジェクトに対応するケースが多く、中堅程度のチームメンバー人には、メンバーをマネジメントし、クライアントとコミュニケーションを取りながらスケジュールに沿うようプロジェクトを進めていく能力が求められます。

投資銀行もまた同様にプロジェクト単位(投資銀行ではディールですが)で案件に対応していくのですが、投資銀行出身の人間はあくまで元々は金融の人間なので、必ずしもプロジェクトマネジメントやチームマネジメントの高いスキルがあるとは限らないため、コンサルのプロジェクトマネジメントのスキルは重宝されます。

特定のプロジェクト経験

一部のプロジェクトは投資銀行の特定の部門と相性がいいとも言えます。最も多いケースはM&Aで、M&Aのアドバイザリーはコンサルと投資銀行で得意な部分に違いはありますが、現実として「投資銀行でもコンサルでも」対応する部分は決して少なくありませんし、M&Aの案件獲得やディールプロセス、法制度などを理解しておくことは大きなアドバンテージになります。従ってM&Aプロジェクトの経験を活かして投資銀行に転職するケースは少なくありません。

その他、企業組織の変革、財務戦略などのプロジェクトをコンサルとして受注される場合もあります。いずれも戦略系コンサルが得意とする領域ではありますが、インダストリーの部門で受注することも珍しくありません。前者は新規上場に向けたアドバイザリーをおこなうIPOと親和性があります。IPOでは上場審査を通すためにクライアントの組織改革が必要となることが多いため、企業組織変革のプロジェクトの知見は大いに役立ちます。

また財務戦略を考える上では、株式調達・負債調達の最適ミックスなどを検討する場面が多いと思いますが、これは投資銀行で働く上でどのプロダクトにいても習得しておくことが望ましい知見ですし、営業にあたるカバレッジでは、頻繁にクライアントに財務戦略を提案するシーンがあります。

金融コンサルが投資銀行の採用・面接においてチェックされるポイント

どの企業へチャレンジする時も、企業が志望者をチェックする際のチェックポイントは「入社後に戦力として起用できるか」です。特に投資銀行は若くして重要なディールに関わるケースも少なくないため、より短期間で戦力化するかどうかを重視します。

その観点を踏まえると、企業が金融コンサルの投資銀行志望者をチェックするポイントは大きく分けて次の二つです。

財務・資金調達戦略のプロジェクト経験があるか

投資銀行も金融業界の一セクターなので、金融業界特有の経験やスキルなどがあれば、プラスに働く場合もあります。

もし、金融コンサル時代に財務・資金調達戦略などのプロジェクトを経験してきた場合は、自分から積極的に「金融をクライアントとした投資銀行ビジネス」に適していることをアピールすることをおすすめします。先に書いたようなバーゼル3などの規制への知見や、金融機関が盛んに資金調達に活用する金融商品などは、投資銀行内でも限られた人間しか知見がありません。従って金融機関をクライアントとしてディール提案したり、ディール運営したりする際には重宝します。

株・債券やM&Aなどプロダクトの部門でも、カバレッジの部門でも、金融セクターを集中的に対応するメンバーが配置されていることは珍しくないため、そのような役割で入社すれば、転職先でもスムーズにキャリアを築いていけると思います。

コンサルがどの程度の知見を持っているか、一般的に投資銀行側はよくわかっていません。従って、投資銀行側からチェックされるのを待つのではなく、自分で自己紹介などの中で積極的にアピールして「金融専門の人材として活きる」と思わせることが大切です。

また、クライアントとして金融機関と関わってきた中で、組織構造やビジネスのスタイルを知っている、という点については、面接の場ではあまり細かくは話さない方がいいかもしれません。内部事情を知っているということをよく思う企業、気にしない企業もいれば、中には変に警戒してしまう企業もいるためです。

一方、自分が金融コンサルであることを話せば、自然に「ウチとのプロジェクトとかもあったの?」と聞かれると思います。聞かれた際でも、自己紹介の際でもいいですが、志望先の企業をクライアントとしてサポートした実績がある場合は事実である「クライアントとして〇〇部とはお世話になった」くらいを話しておくと警戒されず、印象をアップさせられるでしょう。

実際に関わった部署が投資銀行部門と関連が深い部署であれば、あまり細かく話さずとも、内部事情に詳しくなっていることは認識されると思います。

コンサルとしての「強み」が活かせるかどうか

また、コンサルと投資銀行は比較的「親和性がある」業種と見られることが多いため、そもそもコンサルとしてのスキルが投資銀行ビジネスで役立ちそうかをチェックします。

まず、パワーポイントやエクセルでの資料作成スキルは、単純ですが重宝されます。また、プロジェクトのマネジメントスキルがあればさらに好印象。マネジメントといっても大袈裟なものである必要はなく、小さいプロジェクトチーム数人で、円滑に案件を進めていった経験があれば充分です。アソシエイト以上で部下(アナリストなど)をマネジメントした経験があればより素晴らしいですが、上司の指示のもと的確にプロジェクトに対応したという経験でも充分アピールはできます。

通常の面接同様、大事なのは「具体的なエピソード」を混ぜて話すことでしょう。上記の資料作成スキルや、プロジェクトのマネジメントスキルを、具体的に自分がコンサルとして経験したプロジェクトを踏まえて説明できるようにしておくのが望ましいです。その際例えば以下の点を雄弁に話せるように、事前準備をしておくと良いでしょう。

・プロジェクトの概要
・自分の役割
・自分の工夫した事、プロジェクトの成果につながった事
・プロジェクトの成果
・自分の気づきや成長したポイント

金融コンサルはそもそも「コンサル」として見られますので、以上のような「コンサル関連のスキル」が重視されます。

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>投資銀行へのキャリアに関する記事

投資銀行を目指すコンサルタントからよくある質問と回答例【年収面から採用まで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/toinvestmentbank_qa

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金融コンサルはいわば「コンサル」と「金融」の二つの武器を持っている状況で、これらをどのように活かすか明確にしておくことが大切です。

「コンサル」「金融」の合わせ技で他の志望者を差別化する方法もあれば、どちらか一方を軸に強みとして前面に出していく方法もあります。自分の経験や知見を踏まえて「投資銀行マンとして最も自分の付加価値の出る」知見・スキルセットを整理して、アピールしていくことが大切です。

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