「ロジックツリー」例題を参考に作り方を完全理解する

コンサルティングファームで働かれている方は勿論、特に戦略コンサルへの転職を目指す方は、ロジックツリーを作る機会は少なくないと思います。ケース面接で解決策を検討する際にロジックツリーの作成を使用することが多く、またロジックツリーの作成を筆記試験で問われることもあります。

一方で、ロジックツリーの作り方やポイントがよくわからず、感覚的に作っている方も多い印象です。
いうまでもなく、解決策の策定に役立て、高い評価を得るためには正しい作り方をマスターするに越したことはありません。

今回の記事ではロジックツリーの作り方やポイントを、例題も交えながら紹介していきます。

【目次】

  1. よいロジックツリーのポイントとは?
  2. 基本的なロジックツリーの作り方
  3. ロジックツリーの例題と作成例

よいロジックツリーのポイントとは?

ロジックツリーとは、課題解決のために、論点や物事をツリー状(もしくはピラミッド状)に分解して、課題となっている対象を深く分析する手法です。下位の要素を全て含めると、上位の要素になるという原則があります。

ただし、数値計算を伴う題材である場合は、下位の要素を四則演算すると上位の要素になればOKです。すなわち割り算、引き算を活用する場合もあります。

ROAを最上位としたロジックツリーの例

たとえば、こちらの例は経常利益をロジックツリーにしたものですが、三段目の売上と費用は引き算の関係になり、二段目の経常利益を示す数式になります。

「よいロジックツリー」とはどのようなものか?

ロジックツリーの原則を理解すれば「なんとなく」作成することは、そう難しいものではないでしょう。先の例のように要素を分解していけば、一応のロジックツリーは作成できます。

一方で、よいロジックツリーを作成するためには、やはり、基本やプロセスを確実に抑えて作成することが大切です。そこでまず抑えておくべきなのは、そもそも「よいロジックツリー」とは何か?という点です。

コンサルへの転職や就活のシーンを想定した時には、ケース面接などにおける課題解決に役立つロジックツリー、もしくは試験の回答として提示した時に採用担当者が「納得する」分解になっていることが、よいロジックツリーに求められる条件といえます。

そのためには、次の2点を満たしていることが重要です。
✓MECE(もれなく、ダブりなく)になっている
✓最下段から具体的な行動や解決策を探ることができる

ロジックツリーはMECEの状態になっていることが大原則です。もれやダブりがあると、真の解決策を見落とす、もしくは同じ論点を何度も分析することになってしまいます。課題とその解決策を的確に捉えるためにMECEは重要なのです。

このMECE、概念としては簡単なのですが、実践するとなると意外に難しい場合もあります。どうしてもMECEかどうか不安という場合には、せめて「もれがない」ことを意識しましょう。

もれがなければ、解決策を「見落とす」ことは避けられるため、実はきMECEにおいては一般的に「ダブり」よりも「もれをなくす」ことの方が大切です。

もう1つはより実践的な観点で、ロジックツリーは課題解決のために利用するので、分解の結果が解決策の策定につながらなければ意味がありません。そのためには、ツリーの一番下段を見れば「解決策に落とし込める」状態になっている必要があります。

ツリーの段数の決まりは特になく、また各要素の段数が揃っていなければいけないという決まりもありません。解決策が見つかるところまで分解していくのがロジックツリーの大原則となります。

基本的なロジックツリーの作り方

選考の場で評価される、もしくは課題の解決に役立つロジックツリーを構築するためには、適切に順序を踏んで作成することが大切です。ロジックツリーの基本的な作り方を紹介します。

課題を明確にする

ロジックツリーは課題が明確になっていなければ適切に作成するのが困難なので、まずは課題を明確にしましょう。

たとえば、売上を○%アップさせるという課題があった場合に、これで課題が明確になっていると考えるのは早計です。費用を増やしたり、利益率を下げたりして売上を上げてもいいのか、もしくは実際には利益を高める必要があるのかによって、とりうる解決策は変わってきます。

与えられている課題の背景なども踏まえて、的確に課題を定義することで、より役立つロジックツリーの構築が可能となるのです。

仮説を設定する

闇雲に要素を分解しようとしても、限られた時間の中では手が止まってしまうでしょう。ここで試されるのがコンサルで実際に働く上でも重要な仮説思考です。

たとえば飲食店の売り上げを分解するとき、分解の方法は1つではありません。直接的には注文数×価格がシンプルですが、客単価に着目するなら客数×客単価となるでしょう。また、さらに深掘りするときに細かいメニューごとの分解をするのか、あるいは営業時間帯ごとの客数で分解するか、など分解の方法はさまざまです。

その中から的確なロジックツリーを構築していくためには、仮説を設定して、その仮説を検証するうえで役立つように要因分解を進めていけばいいのです。

包含関係・因果関係を意識して要因分解

下位の要素を全て合わせれば上位の要素になるというのがロジックツリーの大原則です。また、上位と下位の関係は包含関係か、因果関係を持つようになります。

✓包含関係:下位の値を全て計算すると上位になる(ただし引き算・割り算の場合もある)
✓因果関係:上位の理由・要因が下位となる

このいずれかが成立することを徹底して要因分解を進めましょう。

なお1つの上位要素に対して下位の要素が3つ以上になる場合は、その並べ方も意識しておくとよりみやすいロジックツリーを構築できます。

✓内部要因→外部要因の順で並べる(たとえば、社内の課題→市場全体の課題の順など)
✓単発の要素→継続する要素の順で並べる(変動費→固定費の順など)
✓有形の要素→無形の要素の順で並べる(設備など有形のリソース→ノウハウなど無形のリソースの順など)

これらの関係性が見いだせない場合は、単純に多い→少ない、重要→些末といった形で何らかの関係性のもと整列した方が、情報が整理され分析しやすいでしょう。

課題解決策が見出せる状態になるまで掘り下げていく

先に設定した仮説の検証となる状態になるまで各要素を掘り下げていきます。先に仮説設定をしておくことで、いたずらに多くの段数にすることなく、課題解決につながる適切な構造のロジックツリーが構築できるのです。

ロジックツリーの例題と作成例

ロジックツリーは大きく分けて4つのパターンがあります。それぞれのパターンの例題とロジックツリーの作成例を紹介します。選考対策でロジックツリーを作成する練習をする際の参考にしてみてください。

要素分解ツリー

比較的使いやすく、またケース面接などでも使用例が多いのが「要素分解ツリー」です。特に売り上げや利益といった数値で示される課題解決のためのロジックツリー構築の際にしばしば用いられます。要素同士が四則演算でつながるケースが多いのも特徴です。

例題:飲食店の売上高を1.5倍にするにはどうしたらいいか?
先にいった通り、実際には前提条件により適切な分解方法はさまざまですが、ここでは客数と客単価に着目するものとしましょう。

解決策としては次のようなものが考えられます。
✓店舗拡張もしくは新店舗開店により席数を増やす
✓メインメニューを高付加価値にして客単価を高める
✓サイドメニューを増やして客単価を高める

実際のケースではさまざまな数値の仮定が与えられるはずなので、ロジックツリーを基に収益インパクトを計算しながら、最適な解決策を提示します。

また、要素分解ツリーから派生するツリーとしてKPIツリーというものも存在します。同様に数値で要素分解できるもので分解していきますが、特に企業のKGI(Key Goal Indicator/経営目標達成指標)が最上位に来て、達成するための中間目標であるKPI(Key Performance Indicat/重要業績評価指標)が要素として現れるのが特徴です。

営業のKPIツリーの例

戦略コンサルファームの選考などでは、課題設定が全社的なものであったりした場合に、このKPIツリーを作成するケースも少なくありません。

原因追求ツリー

何かしらの問題が発生した場合に、その原因を解明していくのが原因追求ツリーです。上位の原因が下位、という関係性が常に成立するようにロジックツリーを構築していきます。

例題:ダイエットがうまくいかない原因を究明せよ

選考の場面ではこのようにビジネスと関係ない題材が出題されることも少なくありません。ツリーの結果、たとえば次のような原因と解決策が検討されます。
✓運動方法が悪く、実はあまり脂肪燃焼につながっていなかったので、運動方法を変える
✓昼食は控えていたが、空腹により夕食を我慢できていなかった。そこで、昼食は少し増やし、その分夕食を我慢するように工夫する

問題解決ツリー

問題解決ツリーは最上段に問題・課題をおいて、下位に行くにしたがって具体的な解決策に落とし込んでいくものです。単体で使用されるケースも多いですが、要素分解ツリーや原因追求ツリーで課題となる箇所や対策を取るべき箇所を示したのちに、具体的な課題解決策を問題解決ツリーで検討する場合もあります。

例題:Webサイトへの集客を増やすにはどうしたらいいか。

このように最も下位を見ると具体的な解決策が見出せるようすることが大切です。前提条件があれば解決策は1つに絞られますし、いくつか案を提示する段階で回答するのが適切な場合もあります(与えられている前提条件の粒度によります)

たとえば、いくつか解決策を挙げるとすれば次のような案が考えられます。
✓流入数が少ないが検索数が多く、流入が期待できるキーワードの記事を充実させる
✓Googleの広告費を増やし、リスティング広告を頻繁に配信する
✓Twitterの配信をプロに任せ、SNSからの流入を増やす

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今回はコンサルティングファームへの転職活動を念頭に、ケース面接や筆記試験などにおいて作成されるロジックツリーについてご紹介しました。課題解決に役立ち、また、評価されるロジックツリーを構築するのにはコツが必要なので、今回の作り方や例題を参考に、本番の選考の前に自分で作成する練習をしっかりとしておきましょう。

なお、ロジックツリーは選考の場だけで役立つわけではなく、実際のコンサルプロジェクトにおける課題解決策の検討の際にも頻繁に活用されます。ロジックツリーをうまく構築するスキルをつけておけば、コンサルティングファームに入社した後も役立つシーンは多いでしょう。
コンサルティングファームへの転職をお考えの方は、ぜひアクシスコンサルティングにご相談ください。


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