今日の企業経営は、グローバル化の波、デジタル化の急速な進展、そしてサステナビリティへの対応といった、複雑かつ複合的な課題に直面しています。こうした難局を乗り越え、持続的な成長を実現するためには、既成概念にとらわれない「創造的かつ実行可能な戦略」が不可欠です。
ヨーロッパ最大級の戦略コンサルティングファームとして、その名を世界に轟かせているのが、ローランド・ベルガーです。ドイツ・ミュンヘンを本拠地とし、欧州発の視点と緻密な実行支援で、数多くのグローバル企業の変革を支えてきました。特に製造業、自動車産業、デジタル領域において際立った強みを持つ同社は、日本のビジネスパーソンにとっても、今後のキャリアや事業戦略を考える上で、重要な示唆を与えてくれるでしょう。
今回の記事では、世界的な経営戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーの企業概要から、その独自のビジネスモデル、歴史、創立者の思想、具体的なサービス事例、そして競争力の源泉である「人」の評価基準、すなわち年収に至るまでを深掘りし、その実像に迫ります。
ローランド・ベルガーの特徴~会社概要~社員数~ビジネスモデル
ローランド・ベルガーは、1967年にドイツ・ミュンヘンで設立された、ヨーロッパ最大規模の独立系経営戦略コンサルティングファームです。
会社概要・社員数
- グローバル設立年: 1967年(ドイツ・ミュンヘン)
- 日本オフィス設立年: 1991年(アジア初)
- グローバル従業員数: 3,000名以上
- 日本オフィス所在地: 東京都港区虎ノ門2-6-1 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 35階
ローランド・ベルガーの最大の特徴は、「Creative strategies that work(結果と実効性を伴う創造的な戦略策定)」を標榜している点です。これは、単なる「戦略立案」に留まらず、その戦略をクライアント企業と共に「実行」し、具体的な「結果」を出すことへ強くコミットする姿勢を示しています。
- 製造業・自動車産業への深い知見:
- 同社はヨーロッパの製造業、特に自動車産業と共に成長してきた歴史を持ち、その知見は極めて深く、戦略立案から実行、サプライチェーン、デジタル化推進まで、幅広い領域でハイレベルなサービスを提供しています。
- 独立系ファームとしての独立性:
- 株式市場に上場していない非上場企業であり、パートナーによる完全所有制を維持しています。この独立性は、短期的な株主の利益に左右されることなく、長期的な視点に基づいた、真にクライアントの利益となる提言を行う基盤です。
これらの特徴は、ローランド・ベルガーが伝統的な戦略コンサルティングの枠を超え、現代の複雑なビジネス課題に対し、実効性の高い「解」を提供する、実践的な戦略パートナーであることを明確に示しています。
ローランド・ベルガーの沿革
ローランド・ベルガーの沿革は、戦後のヨーロッパ経済の復興と、その後のグローバル化の波を映し出しています。
歴史の主要な節目
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年代 |
主要な出来事 |
特徴・意義 |
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1967年 |
ドイツ・ミュンヘンにて、ローランド・ベルガー氏により設立 |
ヨーロッパで最も早く設立された戦略コンサルティングファームの一つ。 |
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1991年 |
日本法人「株式会社ローランド・ベルガー」設立 |
アジア初のローランド・ベルガーオフィスとして発足。以来30年以上にわたり日本企業を支援しています。 |
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2000年代以降 |
グローバルネットワークの拡大と独立性の維持 |
M&Aの波にさらされるコンサルティング業界において、パートナーによる完全所有制を維持し、独立性を堅持しています。 |
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近年 |
デジタル、サステナビリティ(SX)領域への注力 |
外部企業との提携(価値共創ネットワーク)を通じたオープンイノベーションの推進、サステナビリティ関連のコンサルティングサービス強化を行っています。 |
この沿革から読み取れるのは、「ヨーロッパの戦略ファーム」という独自の立ち位置を確立しつつ、常に時代と市場の変化に対応し、サービスを進化させてきた姿勢です。特に、日本においては1991年という比較的早い段階で進出し、日本企業のグローバル化や事業変革を長年にわたり支援してきた実績があります。
ローランド・ベルガーの創立者・現職CEOの経歴
ローランド・ベルガーというファームの精神的な基盤は、その創立者であるローランド・ベルガー氏の哲学と深く結びついています。
創立者 ローランド・ベルガー氏(Roland Berger)
ローランド・ベルガー氏は、1967年にドイツでローランド・ベルガーを創立し、2010年からは名誉会長を務めました。
欧州委員会や域内国家における政府専門委員などを歴任しており、欧州の経済・社会に対する強い影響力を持つ人物です。
氏は、コンサルティングの本質は「人」と向き合うことにあると考えています。常に企業の中の「人」に対し、変化をもたらすものと認識し、その人がパフォーマンスを発揮できるようなソリューションを見つけることを心がけています。この哲学が、ローランド・ベルガーの実効性重視のスタイルに反映されているのでしょう。
日本の代表者(現職)
2025年現在、日本法人の代表取締役社長は大橋 譲氏です。カリフォルニア大学サンディエゴ校情報工学部を卒業。製造業・ハイテク、石油・化学、IT企業といったさまざまな事業領域のクライアントを支援した経験が豊富で、経営課題の解決で多くの支援実績があります。
ローランド・ベルガーのサービス事例
ローランド・ベルガーのコンサルティングサービスは、その得意とする産業領域と、時代が求めるテーマに対して深くコミットすることで、多くの成功事例を生み出しています。
1. モビリティ(自動車産業)分野:CASE時代への対応
自動車産業はCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)という未曾有の変革期にあります。ローランド・ベルガーは、この分野で特に深い洞察と実績を持っています。
- サービス事例:
- モビリティのプライシング戦略策定: モビリティの6つのプライシング戦略立案を土台に、多くのプロジェクトを手掛けています。
2. サステナビリティ変革支援(SX):経済価値と社会価値の両立
近年、企業にはサステナビリティ(持続可能性)を経営の中核に据える「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」が求められています。
- サービス事例:
- 民間航空宇宙産業: プログラム・マネジメント、エンジニアリング、製造など、中核となる領域でコンサルティングを提供。目に見える成果を提供している実績があります。
- 食品メーカー・小売企業向け支援: 消費財、小売、農業など各業界のクライアントに、オーダーメイドのソリューションを提供しています。
これらの事例は、ローランド・ベルガーが、グローバルな知見に基づきながらも、クライアントの現場に深く入り込み、戦略の「実行」と「成果」にこだわるファームであることを証明しているでしょう。
ローランド・ベルガーの年収
ローランド・ベルガーの平均年収は約1,287万円とされています。コンサルティング・シンクタンク業界の平均年収859万円を上回る水準です。
参考:OpenWork
これは、国税庁の「民間給与実態統計調査」による全給与所得者の平均年収(約545万円)を大きく上回る水準でもあります。
ローランド・ベルガーでは、職位によって年収が明確に段階付けられ、昇格ごとに大幅な報酬アップが見込めます。実力主義が徹底されており、成果に応じて高額報酬が支給される仕組みです。
着実に昇格すれば、30代で年収1,000万円以上を狙うこともできます。プロジェクトの全体設計やチーム運営を担うようになれば、成果次第で年収は大幅に伸びるでしょう。
まとめ考察:ローランド・ベルガーの特徴と、日本企業が学ぶべき視点
「Creative strategies that work」というスローガンが示す通り、ローランド・ベルガーは戦略を策定して終わりではなく、クライアントと共に汗をかき、現場での変革を成功に導く「実行支援」に重きを置いています。これは、日本企業がしばしば陥りがちな「戦略と現場の断絶」を埋める上で、極めて有効なアプローチです。創業者ローランド・ベルガー氏の「人」への哲学が根底にあるからこそ、単なる理論武装ではない、現場の意識と行動を変えるコンサルティングが実現するのです。
ローランド・ベルガーは、その欧州由来の独立した視点と、日本で培った深い顧客理解を組み合わせることで、日本企業に真の「創造的かつ実行可能な戦略」を提供し続けています。今後、ますます複雑化する経営環境において、同社の実践的な戦略コンサルティングは、変革を志す多くの企業にとって、不可欠なパートナーとなるでしょう。
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ローランド・ベルガーの魅力
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ローランド・ベルガーの社風
https://www.axc.ne.jp/consul/map/strategy/rolandberger/culture.html
ローランド・ベルガーの事業領域
https://www.axc.ne.jp/consul/map/strategy/rolandberger/domain.html
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今回は、ローランド・ベルガーの特徴について解説しました。
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