実際に投資銀行で求められる「英語力」と「日系・外資系での違い」

投資銀行は一般的に高い英語力を要求されるイメージが強いようで、投資銀行への転職を検討する方の中には英語力に不安を抱えている方も多くいます。そこで今回は、投資銀行で求められる英語力や、日系・外資系での違いについてご紹介します。

【目次】

  1. 英語が必要になる業務①英語の資料・レポートなどを読む(リーディング)
  2. 英語が必要になる業務②英文資料・メールを作成する(ライティング)
  3. 英語が必要になる業務③プレゼンや電話によるコミュニケーション(リスニング・スピーキング)
  4. 「日系投資銀行で最低限求められるレベルは意外と高くない」という声も
  5. 英語のプレゼンまで出来れば日系では強みに
  6. 外資系で求められる英語力は「ネイティブレベル」
  7. まとめ

英語の資料・レポートなどを読む(リーディング)

投資銀行では英語を必要とする業務がいくつかあり、少なくとも一定程度の英語力は「あったほうが望ましい」ことは確かです。まずはどのような業務・場面で英語が必要となるのか見てみましょう。

まずは英語の資料・レポートなどを読む(リーディング)です。
金融市場は日本語だけでは限られた情報しか手に入れられない事が多々あります。特に投資銀行業務となると、一般的な相場動向や経済動向だけでなく、資本市場(株・債券の資金調達)やM&A関連の情報などより深い専門性を伴う情報を日常的に掴んでおく必要があります。日本の市場(日系企業や日本経済など)の情報なら多くが日本語で完結しますが、海外の市場(海外企業・世界経済)については英語の文献・レポートで情報をキャッチしなければ業務を完遂する事が困難です。

これらの情報は、具体的には提案資料を作成する際やクライアントへのプレゼンのベースとして活用されます。日常的にある程度英文の資料に目を通しておく必要がある上に、資料作成・プレゼンの準備として、特定の情報ソースを重点的に調査する機会もあります。クロスボーダー案件や外国証券による資金調達の場合は特に英語での調査・情報収集の重要性が増しますが、日本市場向けのディールだとしても、海外市場の動向を無視することはできないので、やはり英文資料に触れる機会は決して少なくありません。

ただし、ここについては難関企業を目指す上では極端にハイレベルな英語力が必要というわけではありません。投資銀行にチャレンジする(特に大手)方、実際に働いている方は日系でも難関大学の卒業者が多く「英語で文章を読むことすらできない」という方はさほど多くないでしょう。

英文資料・メールを作成する(ライティング)

英文の資料作成の機会は、部門・クライアント・取り扱う市場によって大きく異なります。極端な例では、日本企業が日本市場を主なターゲットとして、円建ての有価証券で資金調達を行う場合はあまり英文資料作成の機会はありません。

一方、以下の場合はどこかのフェーズで資料を英文で作成する場面が出てきます。

●クライアントが海外の場合
●クロスボーダー案件を扱うM&A部門
●外貨建てでの資金調達
●海外IR(資金調達を成功させるためのプロモーション活動)

クライアントが海外の場合は提案資料から目論見書などの文書までありとあらゆる資料を英語もしくは英訳して作成する必要があるので、特に英文での資料作成の頻度は高くなるでしょう。また、外資系では、クライアント向けの資料が日本語でも、社内向けの資料などが全て英語という場合もあるため、社内用に業績やディール結果等を報告するために英語資料の作成が求められるという局面もあります。

英文メールの使用頻度も、それぞれの仕事内容や組織構造によって大きく異なります。外資系で他の国・地域のオフィスとコミュニケーションをとる場合、もしくは日系でも海外オフィスとコミュニケーションをとる場合には英文メールを作成する機会があります。もちろん、先の資料と同様、クライアントが海外企業の場合は相手には英文でメールを送るのが基本です。

プレゼンや電話によるコミュニケーション(リスニング・スピーキング)

投資銀行業務において特に高い英語力を要するのが英語によるプレゼン・電話でのコミュニケーションを必要とする場面です。英文の資料と同様で、クライアントもしくは資金調達する市場が海外の場合やクロスボーダー案件においては頻繁に発生します。また、外資系企業や日系の海外オフィスとコミュニケーションをとる部門・部署でも同様です。

金融関連の専門用語は日本語でも難解なため、英語ネイティブに近いレベルで流暢に英語を使いこなせる人でも一定程度は慣れが必要なのが一般的。欧米圏の金融プロフェッショナルの話す英語は非常に早いことが多く、これが外資系投資銀行や海外案件で高い英語力が要求される理由になっています。

この中では、事前に話す内容をある程度決めておける提案プレゼンテーションなどはまだ難易度が高くないと言えるでしょう。海外部門に配属されて日の浅い方や、相対的に英語力が高くない方は、こうしたスクリプトを準備できるプレゼンテーションなどから英語力を慣らしていく例も見られます。

一方で、特に高い英語力が要求されるのはディール中の価格条件交渉です。株・債券の場合は発行価格の条件交渉、M&Aの場合は買収価格の交渉などが当てはまりますが、いずれも金融市場が刻々と変化するリスクがある中で、短時間で会議の準備する必要があります。

従って原稿を作ったりリハーサルを行ったりすることは基本的に困難で、話す内容もクライアントから受ける質問の回答もその場当たりで柔軟に対応しなければなりません。英語を聞き漏らすことや「何て英語で言えばわからない」となる状況は基本的に許容されないため、まさにネイティブクラスの高い英語力が要求される業務です。

「日系投資銀行で最低限求められるレベルは意外と高くない」という声も

先の章で紹介した通り、投資銀行では英語を使用する業務が多々あります。従って投資銀行に就職・転職するためには「如何にも高い英語力が必要」なイメージを持たれがちです。

英語力が一定程度は必要なのは確かですが、実際には求める英語力の高さはハウスや業務内容によって異なるようです。

まず、日系投資銀行で「最低限」求められるレベルとしては、ある程度の文書が「読めれば」少なくとも「英語ができないから落選」とはなりません。目安にすぎませんがTOEICで600点前後もあれば大丈夫でしょう。(事実それくらいの社員も居たとのこと)

日系投資銀行は社員数が非常に多いため、その中には英語に精通するメンバーが一定率いるはずなので、英語が必要とされる業務にはそのメンバーが当てがわれます。また、先に紹介した通り「国内企業をクライアントとし、国内市場向けのディールを扱う」場合には、英語が必要な場面は英文資料を「読む」程度です。実際に「英語をみっちり勉強して投資銀行に入ったけど、自分で英語のメールを書いたり、資料を作ったりすることは数年間一度もなかった」という方も日系投資銀行では少なからずいます。

日系投資銀行は、特にグループの銀行や証券会社の旧来のリレーションを活かして、日系企業との案件を非常に多く扱っています。従って、国内案件だけしか取り扱えないとしても膨大な仕事があります。そこでしっかり結果を出せば、英語が出来なくてもプロモーションしていく余地も充分あります。

英語のプレゼンまで出来れば日系では強みに

一方、日系投資銀行で海外案件に携われる人が出世しやすいのは確かでしょう。このような方は海外市場向けの証券発行を取り扱う部署やM&Aのクロスボーダー案件などに優先的に配属されます。

日系の場合はチームの人数の割に、英語を業務で日常的に使用する経験があるメンバーはそう多くないため、必然的に「少数精鋭」部門に加わることになり、評価は高めやすいです。リスニングとある程度の会話まで英語ができれば、後に海外オフィスへ転勤するチャンスも広がるため、自分のキャリアにもプラスになります。余談ですが、海外オフィスは通常の給与テーブルに手当てが付加されることが多いので、収入面でも優位です。

もちろん、次で紹介するようにネイティブに近いレベルまで高い能力があれば言うことなしですが、実際にはプレゼンテーションを「予めスクリプトを用意して対応している」「相手(外国人)が気を使って話してくれればコミュニケーションが取れる」と言ったレベルの英語力でも通用します。後はより英語力に卓越したメンバーと始めのうちは協調しながら、膨大な投資銀行業務をこなして慣れていけばいいのです。

外資系で求められる英語力は「ネイティブレベル」

さて、最後に外資系投資銀行ですが、日系とは求められる英語力のレベルが大きく異なります。なぜなら外資系ではクライアント・資金調達市場・社内(他ロケーションのオフィス)まで全て海外になるので、英語を使用する機会は非常に多いと言えます。

実際には日本人同士はあくまで日本語で会話する(たまに何故か日本人同士でも英語で会話しだすメンバーがいたりしますが)のですが、建てつけ上は「業務とコミュニケーションが全て英語でも支障なくこなせること」が求められます。

実際の英語使用頻度も、日系の投資銀行と比較して段違いに多い部署がほとんどです。また、外資系投資銀行はメンバーの人数、日本国内で完結する案件数がともに少ないため「日本語で業務を完結できるディール専門」メンバーを配置することが通常ありません。多くのメンバーが国内案件、(クライアントもしくは市場が)海外の案件をかけもちして対応します。そのため全員に高い英語力を求めるのです。

英語力は最早TOEICで比較するレベルではありません。(強いて言うと900点台後半〜満点の人が多数。ケアレスミス的な失点の差になるようです。)そもそも帰国子女もしくは留学経験のある方が非常に多く、中にはそもそも海外で採用されたという日本人メンバーがいることもあります。理想は「限りなくネイティブに近い」ことで、日本人らしい英語で流暢位話せる程度でも「許容される」というレベル感です。

もちろん「英語力」だけで採否を決めるわけではないので、このレベルまで英語力がないと絶対に採用されないと言うわけではありません。しかし、英語力が劣ると言う場合には、それ以外の業務実績や専門能力・知識などにおいて秀でたものが必要になるでしょう。同じ投資銀行で具体的な実績がある場合などには交渉の余地が出やすいですが、コンサルなど異業種からの転職では、卓越した英語力なしにいきなり外資系投資銀行に転職するのは容易ではありません。

まとめ

投資銀行では高い英語力があることが望ましい一方で、例えばコンサル経験者などでしたら「自分でも行ける」と思った方も多いのではないでしょうか。日系投資銀行ならば際立った英語力は無くとも他の強みがあれば充分チャレンジする余地はありそうです。

一方で、外資系の場合は、よほど卓越したスキル・知識がない限りはネイティブに近いほどの高い英語力が基本的には必須になります。英語力に自信がない方は徹底的にスキルアップするか、あとは一度日系の投資銀行に入って専門性を高めてからチャレンジするというのも手です。英語力に不安がある方は、今回の記事も参考に、自分ならどのようなキャリアパスを目指すか、検討してみると良いでしょう。

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>投資銀行へのキャリアに関する記事

投資銀行におけるエクセル仕事術【必要なスキルから多用する関数まで】
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbank_excel

投資銀行は”激務”なのか?部門毎の「働き方の違い」と「激務と言われる理由」について
https://www.axc.ne.jp/media/careertips/investmentbankwlb

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今回の記事では、実際に投資銀行で求められる「英語力」と「日系・外資系での違い」についてご紹介しました。

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